TCFD提言に基づく情報開示


当社グループは2021年12月に「TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明しました。またカーボンニュートラル実現を成長の機会として捉え、自ら以外のステークホルダーも含めた経済社会システム全体の変革を行うための議論と新たな市場の創造のための実践を行う場として2022年3月に設立された「GXリーグ」に賛同を表明し、2023年度からの本格稼働にも参画しております。
TCFD提言に基づき、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進していきます。
ガバナンス
気候変動を含むサステナビリティ推進に関連する重要な経営課題は、サステナビリティ委員会より取締役会に付議・報告されます。取締役会は、当社の事業全般にわたるリスクと機会の評価に基づき、当社の持続的成長と社会課題の解決につながる具体的施策とその実行計画につき審議・決定し、監督します。
また、取締役、執行役員ならびに事業部門幹部社員をメンバーとするグループ経営会議(月1回)では、経営目標の達成状況のみならず、当社を取り巻く経営環境に起因するリスク・課題の把握と評価、それに対する対応策が報告・討議されます。この場で、事業部門の現場が直面するサステナビリティ関連の課題も共有され、経営陣が必要な対策を指示します。

戦略
■ 社会的課題解決に向けたサステナブルな製品の拡販
パインケミカル事業の主要原料である粗トール油は、EUにおける再生可能エネルギー指令(RED II)で先進型バイオ燃料として規定されるなど、近年、急速にニーズが高まっております。
当社は国内で唯一、粗トール油を原料としたトールロジン、トール油脂肪酸を生産しており、再生可能原料を使用するパインケミカル製品をはじめ、環境負荷を低減する化学工業製品をさまざまな用途へ提供し続けております。
中期経営計画では、当社グループの強みを活かし、再生可能原料の使用、有害性物質・VOC低減、3R、脱プラといった環境負荷を低減する社会的課題の解決に役立つ製品(サステナブル製品)を拡販する戦略を掲げております。


■ 脱炭素社会実現に向けた取り組み
当社グループは、経営理念「自然の恵みをくらしに活かす」のもと、再生可能資源であるロジン(松やに)を原料に、パインケミカル(松の化学)の「循環型事業」を中心に成長してきました。「自然に負荷をかけない生産システム」と「自然環境にやさしい製品」を通じて、潤いのある、豊かな社会の創造を使命に、人と技術を大切にするグローバルカンパニーを目指します。
製品の製造には、松材からパルプを製造するときに副生する粗トール油を原料として活用しています。また、粗トール油を精留しトールロジン、トール油脂肪酸などを生産する過程で得られる副生物は、カーボンニュートラルのバイオマス燃料(自然循環型エネルギー)として有効利用しています。
当社グループの循環型事業の成長と脱炭素社会実現に向けた取り組みには比較的長い歴史があります。1958年に国内で初めてトール油精留事業に参入し、1973年には人と地球にやさしい世界初の完全クローズドシステムのトール油精留プラントを建設しました。また、加古川製造所(兵庫県加古川市)にバイオマス発電設備(2005年)を稼働、伊保基地(兵庫県高砂市)には太陽光発電システム(2014年、発電能力1,129kW)を稼働させるなど、予てより脱炭素社会の実現に向けた取り組みを行っています。2022年にはカーボンニュートラル都市ガスを導入し、2023年には地域行政・住民との価値共創・課題解決プロジェクトとして「ため池水上太陽光発電事業」を開始しました。2023年4月には加古川製造所に実質CO2フリーのプラント運営を目指すミルセン(香料原料)の製造設備を完工しました。また、再エネ指定の非化石証明書を組み合わせることでCO2排出量をゼロとする仕組みを導入し、加古川製造所の電力CO2排出量のゼロ化を実現する取組を行い、その他の国内工場でも同様の取組みを進めています。
2021年6月には、国内の温室効果ガス削減ロードマップを公表しました。2030年46%削減(2013年度比)という政府の温室効果ガス削減目標に対して3年前倒しし、2027年に46%削減、2030年には50%削減を目標にしています。その実現に向けて、再生可能エネルギーやバイオマスエネルギーの拡大、エネルギーの効率化に取り組んでいます。
<温室効果ガス削減ロードマップ(CO2換算)>
![温室効果ガス削減ロードマップ[CO2換算]](/environment/img/tcfd_recommendations/data.png)
これらの戦略への取り組み状況は、定期的に進捗を確認し、後述の「指標と目標」で開示します。
■ 気候関連リスク・機会の影響について
気候関連のリスクと機会が当社の事業、戦略、財務計画に及ぼす実際の影響と潜在的な影響について、重要(マテリアル)な財務影響を与える可能性のある気候関連リスク・機会を、2℃未満、4℃以上のシナリオごとに、後述のリスク管理プロセスで特定しました。的確なリスク認識の下、適時適切に対応策を図り、レジリエンスを備えます。


リスク管理
当社グループの事業経営は、株主をはじめ、顧客、従業員、取引先、地域社会等のステークホルダーに対する企業価値を、持続的に高める事を基本方針としております。経営の透明性、合理性を向上させ、適時適切な意思決定を担保する為に、取締役会、監査等委員会、監査グループの活動の充実、および内部統制システムの整備に努めながら、ディスクロージャー(情報開示)、コンプライアンスおよびリスクマネジメント体制の強化を図っております。
参考URL)コーポレート・ガバナンスと内部統制システム|ハリマ化成グループ
指標と目標
戦略とリスクマネジメントに即して気候関連のリスクと機会の評価に使用する指標は下表のとおりです。温室効果ガス排出削減目標(Scope1,2)に向けた進捗管理に加え、2022年度よりScope3のモニタリングを開始しました。各目標の達成に向けて取り組みを進めて参ります。

※2 ハリマ食品(株)、ハリマ化成商事(株)が所有しているゴルフ場及びホテルは集計から除外。
※3 2021年度はハリマ化成(加古川)とハリマMID(加古川)、2022年度以降はハリマ化成(国内)とハリマMIDを対象に算定。
※4 2024年度実績については、現在、集計中です。