ハリマ化成グループ

サステナビリティ

TCFD提言に基づく情報開示

更新日:2024年1月22日

ハリマ化成グループの事業活動とSDGsへの貢献
ハリマ化成グループの事業活動とSDGsへの貢献

当社グループは2021年12月に「TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明しました。またカーボンニュートラル実現を成長の機会として捉え、自ら以外のステークホルダーも含めた経済社会システム全体の変革を行うための議論と新たな市場の創造のための実践を行う場として2022年3月に設立された「GXリーグ」に賛同を表明し、2023年度からの本格稼働にも参画しております。

TCFD提言に基づき、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進していきます。

<TCFD提言における推奨開示項目>

--TCFD提言における推奨開示項目の表
出典:2021年10月気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言の実施(日本語訳)
https://tcfd-consortium.jp/pdf/about/2021_TCFD_Implementing_Guidance_2110_jp.pdf

尚、将来に関する記述は、本報告書作成時点で当社グループが入手している情報を踏まえた仮定、予期及び見解に基づくものであります。既知及び未知のリスクや不確実性およびその他の要素を内包しており、有価証券報告書「事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要素によって、当社の実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況が、こうした将来に関する記述とは異なる可能性があります。

ガバナンス

気候変動を含むサステナビリティに関する重要な経営課題は取締役会に付議・報告されます。

<経営組織その他コーポレート・ガバナンス体制の概要>
経営組織その他コーポレート・ガバナンス体制の概要図

当社は執行役員制度を導入しています。執行役員の業務執行機能を分離し、取締役会がその監督を行うことで、経営環境の変化に効率的かつ迅速に対応できる体制をとっています。

毎月1回開催されるグループ経営会議は、取締役、執行役員および部門責任者を構成員とし、気候変動を含む業務執行状況が報告されます。取締役会メンバーはそれを監督・点検し、今後の経営方針及び計画について審議するなど、経営環境の変化やリスクに対して各部門が迅速に対応できる体制をとっています。

--経営組織その他コーポレート・ガバナンス体制の概要に関する表

全社の環境経営の推進と各拠点の環境管理活動を統括する全社環境委員会の委員長(環境担当役員)は、気候関連をはじめとする環境課題への取り組み状況、指標・目標設定や進捗状況等を報告します。

また、部門責任者は気候変動機会を含む各部門における業務執行状況を報告し、経営企画担当役員はESG経営全般の報告をします。

取締役会は、戦略、業務計画、リスク管理方針、年間予算、業務目標・計画、実行・進捗管理、設備投資、企業買収・事業分離などの評価・指導時には、気候関連の課題を考慮します。

■環境マネジメント体制図
環境管理体制図環境管理体制図

戦略

■ 社会的課題解決に向けたサステナブルな製品の拡販

パインケミカル事業の主要原料である粗トール油は、EUにおける再生可能エネルギー指令(RED II)で先進型バイオ燃料として規定されるなど、近年、急速にニーズが高まっております。

当社は国内で唯一、粗トール油を原料としたトールロジン、トール油脂肪酸を生産しており、再生可能原料を使用するパインケミカル製品をはじめ、環境負荷を低減する化学工業製品をさまざまな用途へ提供し続けております。

中期経営計画では、当社グループの強みを活かし、再生可能原料の使用、有害性物質・VOC低減、3R、脱プラといった環境負荷を低減する社会的課題の解決に役立つ製品(サステナブル製品)を拡販する戦略を掲げております。

--社会的課題解決に向けたサステナブルな製品の拡販の画像 社会的課題解決に向けたサステナブルな製品の拡販の画像
■ 脱炭素社会実現に向けた取り組み

当社グループは、経営理念「自然の恵みをくらしに活かす」のもと、再生可能資源であるロジン(松やに)を原料に、パインケミカル(松の化学)の「循環型事業」を中心に成長してきました。「自然に負荷をかけない生産システム」と「自然環境にやさしい製品」を通じて、潤いのある、豊かな社会の創造を使命に、人と技術を大切にするグローバルカンパニーを目指します。

製品の製造には、松材からパルプを製造するときに副生する粗トール油を原料として活用しています。また、粗トール油を精留しトールロジン、トール油脂肪酸などを生産する過程で得られる副生物は、カーボンニュートラルのバイオマス燃料(自然循環型エネルギー)として有効利用しています。

当社グループの循環型事業の成長と脱炭素社会実現に向けた取り組みには比較的長い歴史があります。1958年に国内で初めてトール油精留事業に参入し、1973年には人と地球にやさしい世界初の完全クローズドシステムのトール油精留プラントを建設しました。また、加古川製造所(兵庫県加古川市)にバイオマス発電設備(2005年)を稼働、伊保基地(兵庫県高砂市)には太陽光発電システム(2014年、発電能力1,129kW)を稼働させるなど、予てより脱炭素社会の実現に向けた取り組みを行っています。2022年にはカーボンニュートラル都市ガスを導入し、2023年には地域行政・住民との価値共創・課題解決プロジェクトとして「ため池水上太陽光発電事業」を開始しました。2023年4月には加古川製造所に実質CO2フリーのプラント運営を目指すミルセン(香料原料)の製造設備を完工しました。また、再エネ指定の非化石証明書を組み合わせることでCO2排出量をゼロとする仕組みを導入し、加古川製造所の電力CO2排出量のゼロ化を実現する取組を行い、その他の国内工場でも同様の取組みを進めています。

2021年6月には、国内の温室効果ガス削減ロードマップを公表しました。2030年46%削減(2013年度比)という政府の温室効果ガス削減目標に対して3年前倒しし、2027年に46%削減、2030年には50%削減を目標にしています。その実現に向けて、再生可能エネルギーやバイオマスエネルギーの拡大、エネルギーの効率化に取り組んでいます。

<温室効果ガス削減ロードマップ(CO2換算)>
温室効果ガス削減ロードマップ[CO2換算]

これらの戦略への取り組み状況は、定期的に進捗を確認し、後述の「指標と目標」で開示します。

■ 気候関連リスク・機会の影響について

気候関連のリスクと機会が当社の事業、戦略、財務計画に及ぼす実際の影響と潜在的な影響について、重要(マテリアル)な財務影響を与える可能性のある気候関連リスク・機会を、2℃未満、4℃以上のシナリオごとに、後述のリスク管理プロセスで特定しました。的確なリスク認識の下、適時適切に対応策を図り、レジリエンスを備えます。

<気候関連リスク・機会と対応策(レジリエンス)>
--気候関連リスク・機会と対応策(レジリエンス)の表
※CP: カーボンプライシング。気候変動問題の主因とされる炭素に価格を付ける仕組み。炭素を排出する企業が排出量見合いの金銭的負担を求められたり、そのコストが販売価格に転嫁されたりする影響が考えられる。
<参照した気候変動シナリオ>
--参照した気候変動シナリオの表

リスク管理

気候関連のリスクは、脱炭素社会実現に向けた社会の変容を捉えるべく、長期的かつリスク規模も大きくなる可能性があり、これはその他のリスクとも相互に関係し合うものであることから、統合的なリスク管理が重要と認識しています。

当社グループは、事業等のリスクを、経営環境に関するリスク、事業運営に関するリスク、経理・財務に関するリスクに大別して有価証券報告書等で開示していますが、気候関連リスクは「経営環境に関するリスク」の一つと捉え、相互の関連を認識したリスク管理を行っております。

気候関連リスクを識別・評価・管理するにあたって、以下のリスク管理プロセスを執っています。

<リスク管理プロセス>
--リスク管理プロセスの表

指標と目標

戦略とリスクマネジメントに即して気候関連のリスクと機会の評価に使用する指標は下表のとおりです。温室効果ガス排出削減目標(Scope1,2)に向けた進捗管理に加え、2022年度よりScope3のモニタリングを開始しました。各目標の達成に向けて取り組みを進めて参ります。

<指標・目標と実績>
--指標・目標と実績の表
※1 情勢や政策ほか経営環境に大きな変化が生じた場合は目標の変更を行うことがあります。
※2 海外連結子会社のGHG排出量は温対法に基づく「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」の係数を使用。
※3 2021年度はハリマ化成(加古川)とハリマMID(加古川)。2022年度はハリマ化成(国内)とハリマMIDを対象に算定。
<気候関連リスク・機会の財務影響(最大損益額)試算>
--気候関連リスク・機会の財務影響(最大損益額)試算の表