ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

目標はポリマーと同等以上の伝導度を持つ透明なオリゴマー分子の開発

西長 亨

物心ついた頃から化学に興味

化学に興味を持つようになったのは、いつ頃からですか。

 物心ついた頃から、と言うとまたちょっと大げさかもしれませんが、父がやはり大学で有機化学を研究していたので、家の中にそういう本がたくさんありました。もちろん子どもの頃にきちんと読んだわけではありませんが、なんとなく見ていたから馴染みはありました。だから六角形がいくつもつながった構造を見るというようなことに、抵抗は全然ありませんでしたね。小学生の時に父の研究室に行ったこともあり、中学生の頃には漠然とですが、自分もああいう世界に進むのだろうと思うようになっていました。

こういう研究は、年を重ねるほどいいのでしょうか、それとも頭の柔らかさという面で若さが必要なのでしょうか。

 自分の研究スタイルとしては、蓄積を大事にしながら、他の分野との融合ができないか探りながらやっているところがありますね。今のようなことを若い時にできたかというと、どうでしょうか。大部分は経験とか知識だと思います。

そういう意味ではイリノイ大学での経験も大きかったのではないですか。

 確かにそうですね。オリゴマーの分子の扱い方とか、合成の仕方とか、あの時の経験が今につながっている部分はかなりあると思います。ただ、日本と欧米とではスタイルが違います。アメリカは設備などを共同で使うことが多いのですが、それぞれの設備に人が配置されていたりします。薬品などの購入も、学科の中に一括で管理するスタッフがいたりします。また欧米は、博士課程まで進むのが基本ですが、日本はマスターまでが基本ですよね。どちらがよいとは一概に言えませんが、そういう違いを経験したことも意味のあることだと思っています。

首都大学東京大学院 理工学研究科分子物質化学専攻准教授 西長 亨[にしなが・とおる] 1967年、大阪府出身。1995年、京都大学大学院工学研究科博士課程修了。工学博士。日本学術振興会特別研究員、京都大学化学研究所助手などを経て、2005年4月より現職。その間2000年から約1年間、化学科客員研究員としてイリノイ大学に留学。高校まで続けた剣道は初段。専門書以外で最近読んで印象に残った本は「悩む力」(姜尚中著)という。

「第29回松籟科学技術振興財団研究助成受賞」

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