One Hour Interview
目標はポリマーと同等以上の伝導度を持つ透明なオリゴマー分子の開発
西長 亨
ポリマー以上の性能を目指す
今までいろいろな人が研究してできなかったことが、先生にはできたのはなぜですか。
(少し間をおいて)どこまで追究するか、ということではないでしょうか。今回、使ったのは可溶性の置換基で、もともとのPEDOTのユニットとはちょっと違うものです。それが果たしてEDOTのモデルになり得るのかということは、やってみないと分からないところがありました。実験は学生さんにやってもらったわけですが、これはなかなか大変な作業でした。単純で、非常に忍耐力の要る作業です。そういうことがどこまでできるか、というのは大きなポイントだと思います。
もうひとつ、分離にはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)カラムという装置を使うのですが、この装置については多分、日本が先行しています。もともと分析に使うものだったのですが、分離にも使えるようにしたもので、日本だとこの分野の研究室にはほとんど入っています。でも、イリノイ大学の研究室にはありませんでした。この装置を長年、使っているかどうかも大きな違いだと思いますよ。
ということは、この分野の研究は日本が進んでいると。
そう言っていいのではないでしょうか。
有機合成の研究者には、ポリマーに対して、モノマーやオリゴマーは劣るという先入観があると聞いたことがあります。
ポリマーにもオリゴマーにも、それぞれ長所短所があります。オリゴマーの場合、やはり耐久性などでいろいろ問題が出てくると思います。ただ、基本的な考え方として、何かひとつでもオリゴマーを使ってポリマー以上の性能が出るようにしたい。それは決して不可能なことではないと思っています。