ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

サイエンスも総力戦の時代です

十倉好紀

面白いと思う研究をする

 研究者として必要な資質とは、オプティミスト(楽観的)であることと、研究が好きであることではないでしょうか。研究戦略を立て、その戦略どおりに研究が進めばそれがまず楽しい。一方、思いどおりにいかず失敗することも多々ありますが、そこから思わぬ価値の発見をすることもあります。そしてそれが新しい成功につながることもあり、それがまた楽しい。

 人間が、面白いと思ってやったことで、役に立たなかったことはたぶんひとつもありません。それをエクスキューズにして自分の面白いと思う研究をしている部分もありますが、それでいいのだと思っています。

 サイエンスとしての価値、技術としての価値、製品や応用としての価値、など研究の価値観は人それぞれに多様であっていいと思います。ただひとつ言えるのは、研究は面白いということ。そして面白いと思ってやる研究は、今は役に立たなくてもいつかきっと何かの役に立つ日がくるのです。

オプティミストであること、研究が好きであること、それが研究者として必要な資質です。

十倉好紀[とくら・よしのり] 理化学研究所 創発物性科学研究センターセンター長 1954年、兵庫県生まれ。東京大学工学部物理工学科卒業。同大大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了。工学博士。同大講師、助教授を経て、1994年、同大大学院物理工学専攻の教授に就任。2013年より現職。現在、東京大学卓越教授でもある。2020年には文化功労者にも選ばれた。トムソン・ロイター引用栄誉賞に異なる研究トピックで2回、選ばれている。動物、とくに犬が好きで、現在のゴールデンレトリバーは2代目。

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