シナジーを発揮

　今は、いろいろな分野の人の力を糾合し、さまざまな手法を組み合わせて総力戦で研究を進めることが必要です。サイエンスも総力戦の時代なのです。だいぶ前に産業経済の分野でメガコンペティションという概念が注目されましたが、サイエンスの世界ではまさに今がそうです。

　センターが発足して７年、シナジーは明らかに発揮されています。このセンターの中だけではなくいろいろな人の知恵を借りながら、若い人がいろいろなところに出て行って、仕事やディスカッションをする、そういうことはおそらく日本のどこよりもやっていると思います。最近、私たちのグループも参加したチームが、特殊な磁性体でスピンが渦を描いて並ぶナノスケールのスピン構造の「スキルミオン」を発見し、論文を発表しました。この「スキルミオン」物質を利用して作る創発インダクタは、現状で最小といわれる従来型インダクタと比較して、素子体積を10万分の１以下にすることが可能です。