One Hour Interview
新たな手法を開発して既存分子の限界を破る
岡野健太郎
リチウム枯渇問題に挑む
リチウム枯渇を見据えた研究テーマにも取り組んでいらっしゃるとお聞きしました。
2020年頃、中国の電気自動車産業の急速な成長がニュースで大きく取り上げられました。電気自動車にはリチウムイオン電池が使われているため、リチウムが枯渇するのではないかといわれ、価格が上がったのですが、結果的にはそれほどの大事には至りませんでした。しかし、リチウムの価格は高止まりしており、リチウム電池はスマートフォンから産業用機器までさまざまな用途に使われているため、化学合成に用いるリチウムの供給不足は、現在も課題となっています。そこで、この問題を解決する方法の1つとして、地殻に豊富に含まれるマグネシウムやナトリウムに着目し、持続可能な精密合成を実現するための研究を始めています。これらの元素が持つ特徴を活かしながら、学術的にも価値があるリチウム代替法を確立し、今年中には論文化したいと思っています。

岡野健太郎[おかの・けんたろう] 1979年生まれ、兵庫県出身。京都大学工学部工業化学科卒業。東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了。同博士課程中途退学。東北大学大学院薬学研究科で助手、助教を務めた後、神戸大学大学院工学研究科で講師、特命准教授、准教授を経て2024年4月より現職。コロナ禍のときに体重が増加したのをきっかけに始めたマラソンが趣味。
[第31回 松籟科学技術振興財団研究助成受賞]
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