One Hour Interview
新たな手法を開発して既存分子の限界を破る
岡野健太郎
工学と薬学の二刀流
のびのびと実験に取り組む学生たち
化学合成のスペシャリストを育てたいということですが、そうした人材に必要な資質は何でしょうか。
簡単にあきらめない粘り強さ。それと、研究が面白いと思えるかどうかもとても重要です。「頑張れ」と言えば頑張るのならこちらも苦労しません。学生にいかに面白いと思わせるかが、教員としての腕の見せ所です。
面白いと思わせる方法があるのですか。
試行錯誤を経て、思い通りの結果が得られると、学生の表情が変わってきます。研究室から社会に出る前に、一度はそういう経験をしてほしいと思っています。それをどうやってプロデュースするかが難しいですね。あとは、おだてるのではなく、本人が努力した点を具体的に褒めることでしょうか。いつも褒めていると効き目がなくなるので、ごくたまにしか褒めませんが(笑)。
先生は京都大学の工学部を卒業されてから、東京大学の薬学系研究科の修士課程に進学されています。なぜ薬学系だったのですか。
京都大学在学中に、のちに指導教員になる東京大学大学院薬学系研究科の先生が天然物合成をとても面白そうにご講演され、興味を持ったのが1つのきっかけでした。そのあとまた工学系に戻ったわけですが、薬学のフィールドで10年以上仕事ができてよかったと思っています。工学と薬学という2つのコミュニティで多くの先生方と知り合えたのが、私にとっては大きな財産です。
産学連携による研究開発も進められているとのことですが、共同研究をされているのでしょうか。
はい、今は複数の共同研究が動いています。他分野の先生方とのご縁もあり、医薬や農薬の候補化合物をつくってほしいというお声がけをいただくことが多いですね。ある目的に応じた機能性分子をつくってほしいと言われることもあります。私たちの研究室の合成力を見てくださっている方がいるのは、うれしいものです。たくさんのお話を引き受けた結果、助教の先生や学生に手伝ってもらうことも多々あります。