One Hour Interview
触媒反応促進機構の解明に挑む
椿 俊太郎
触媒反応の研究に注力
マイクロ波をどのようなことに使っているのですか。
いろいろありますが、今、一番力を入れているのは触媒反応です。例えば、植物油由来の廃食用油や藻類由来の油から基幹化合物をつくるプロセスを開発しています。固体触媒にマイクロ波を照射すると、触媒反応を促し、高選択的かつ効率的に目的化合物をつくることができるのです。そのほかにもさまざまな触媒反応の研究を進めており、触媒自体を合成することもしています。
最近、廃食用油を航空機のジェット燃料に使うことが注目され、そのため廃食用油の価格が上がっているという話を聞きます。このような持続可能な航空燃料はSAFと呼ばれますが、SAFの精製にも触媒は使われるため、マイクロ波を応用することが考えられます。
先生は、マイクロ波のプロを自認されているそうですが、そういう方は結構いるのですか。
最近は、マイクロ波のことで困ったら椿に聞けという形でいろいろご相談をいただきます。マイクロ波と化学を組み合わせた技術を持っている研究者は、世界的にも少ないので、重宝されています。