ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

触媒反応促進機構の解明に挑む

椿 俊太郎

半導体式発振器の導入で研究がスムースに

その間にもマイクロ波の技術は進化してきたのですか。

 従来のマイクロ波装置は、マグネトロンとマルチモード型アプリケーターを用いたタイプが広く使われていました。要するに、電子レンジのようなものですね。こうした装置は比較的安価で、庫内も広く、いろいろな試料の加熱に用いることができました。

 ただ、従来のマイクロ波装置に搭載されているマグネトロンは、幅広いスペクトルのマイクロ波を出力し、しかも発振中にスペクトルが揺らぐことがありました。つまり、きれいなマイクロ波が出ていなかったのです。そのようなマイクロ波が定量的に照射されていない状態で加熱していると、マイクロ波による反応加速効果を正確に解析することができません。

それではデータが安定しないし、再現性にも問題が出てしまいますね。

 そこで私たちが目をつけたのが、半導体式のマイクロ波発振器です。当初は、出力が低い、価格が高いという問題がありましたが、高出力の半導体式発振器がこの10年間に多く出ており、価格も安くなってきました。今は、蛍光灯がLEDに代わるように、マグネトロン式に代わって半導体式のマイクロ波発振器が増えています。

先生はいつ頃、半導体式発振器に切り替えたのですか。

 2015年頃で、比較的早かったほうだと思います。半導体式に切り替えることで、安定してきれいなマイクロ波を照射することができ、多周波数の装置の開発や、小型装置の開発も進めることができました。自分で独自装置が製作できるようになると、その後はドンドン発展するようになりました。

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