One Hour Interview
複数の材料を多段階積層した高効率太陽電池開発に挑む
田辺克明
新材料・新構造の太陽電池を研究
エネルギーと環境問題に興味を持つようになったのはいつ頃からですか。
問題意識を持つようになったのは高校生の頃からです。NHKのドキュメンタリー番組を見て、世界的な環境問題の解決に貢献したいという気持ちが芽生えました。小学生のとき横浜に住んでいて、光化学スモッグ注意報が出てサイレンが鳴り、外に出てはいけないと言われたとき、これは大変だ、なんとか解決できないのかと思ったことも覚えています。
それで太陽光発電を研究テーマにされたのですね。
太陽光は持続性のあるエネルギー源です。太陽が燃え尽きるのはずっと先のことでしょうし、地球上にものすごい量のエネルギーが降り注いでいるわけで、それを活用するのは極めて妥当なことですし効率的だとも思います。発電の過程で太陽電池を使えば有害な物質も出しませんし、エネルギーという観点からも環境問題という観点からも有望なデバイスだと思います。世界各地に太陽光パネルを敷き詰めたら、人類全体が使うエネルギーをすべて賄えるはずです。ただ、そこまで普及していないひとつの理由は、コストにあります。太陽光パネルを買って発電するコストと、既存の電力会社から電気を買うコストを比べると、電気代としては太陽光のほうが高くなってしまいます。それでは企業としても消費者としても、太陽光発電を導入しようというモチベーションは起きにくいですね。だから私はより低コストで太陽光発電ができる新しい材料や新しい構造の太陽電池を研究しています。