ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

新規性のある界面活性剤の分子設計から物性評価までを一手に担う

吉村倫一

企業との共同研究も教育の一環

企業との共同研究にはどういう姿勢で対応されていますか。

 学生も参加して、学会発表できるか、論文発表できるかということを必ず確認しています。特許の絡みで研究の成果を公にしたがらない企業もあるからです。

 私は研究者であると同時に教育者でもありますから、学生が自分の研究を発表する場を持つことを重視します。そういう機会がないのであれば、基本的に共同研究の話はお断りしています。

企業と共同で研究する利点はあるのですか。

 よく、資金的なメリットを指摘されますが、私自身は資金のことはあまり重視していません。それよりは、企業と共同で研究すると、その成果物が具体的な製品となって世の中に出る可能性がある利点のほうが大きいと思います。自分たちの研究成果が製品となって販売されたら、論文とはまた違う達成感、喜びが得られます。

企業は利潤が最終的な目的であり、その面で考え方が衝突することはありませんか。

 私たちは教科書に載るような基礎的なデータを得ることを目指しています。企業もそこは理解していて、基本的な物性を出してくれればいい、応用的なことまでは期待していないとよく言われます。だから意見が衝突するようなことはありません。

企業は共同研究で何を期待しているのでしょうか。

 最近、企業からの問い合わせや共同研究の申し出が多いのですが、その際に企業の方からよく聞くのは、ここ数年界面活性剤の応用的な研究開発ばかりしてきて、基礎的なところが抜け落ちているということです。

 基礎的なところをもう1度、しっかりしないと新たな道が開けないと考えている企業が増えていると感じます。

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