One Hour Interview
低環境負荷合成法によるナノ材料開発に挑む
横山 俊
実り多かった留学体験
この研究の最終的なゴールは?
ナノワイヤがつくれるようになったら、その応用をしたいですね。透明電極をつくるところまでいければと考えています。
そこまで行くのにあとどれくらいの時間がかかりそうですか。
(苦笑しながら)ウーン、3年くらいでしょうか。3年を目標にします。透明電極ができたら、太陽電池などのエネルギーデバイスに応用していきたいですね。そこからさらに先になると、ナノインクを塗ったら太陽電池ができるとか、柔らかく折り曲げることのできるディスプレイなども可能になるでしょう。
先ほどオレゴン大学に留学されたとお話しされましたが、なぜ留学先にオレゴン大学を選んだのですか。
つまらない答えで申し訳ないですが、教授に薦められたからです。時期は、2011年の東日本大震災の後です。大学の建物もひびが入ったりして、こんなときに留学に行けるのか、行っていいのかなとも思いました。
教授が「行けるのなら行った方がいい」とおっしゃったので、気持ちが固まりました。あの震災が起きたときは仙台空港にいました。屋上に避難したのですが、死ぬかもしれないと思いました。その後、研究室の片付けなどが一段落してからは、教授と一緒に気仙沼の避難所にボランティアで行って太陽電池を設置しました。
留学で得たものは?
アメリカの化学界の有名な科学者の方たちとディスカッションして、ああいう世界があるということを体感できたのは大きかったと思います。0から1をつくるような最先端の研究に関わることができて、いい経験になりました。
それと度胸がつきましたね。実は行くまで英語は全然できなかったんです。オレゴン大学の教授は僕の英語力を察して、ゆっくり、文法通りに話してくださったので理解できましたが、学生たちは早口だしスラングも多いので、何を言っているのか最初の頃は全然分かりませんでした。