ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

植物の高度利用で高付加価値機能性材料を開発する

植物由来の機能性材料開発に取り組む竹井敏さん。
微細加工向けのパターニング材料やガス高透過性モールド材などで、
すでに成果を上げている。企業に勤めていた経験があるため、
大学でも地域や産業に貢献できる実需化に近い研究を目指したいという。
「大学は情報の共有があまりできていない」と課題も提起する。

竹井 敏

富山県立大学
工学部 機械システム工学科
エコマテリアル工学講座 准教授

企業と同じ研究をしても意味がない

2010年まで企業に勤めておられたそうですね。どういう仕事をされていたのですか。

 日産化学工業に12年間、在籍していました。そのうち約11年間は研究職で、高付加価値の機能性材料、特に微細加工に使う材料の開発をしていました。最後の1年間は、異動となり、企画開発の仕事に就きました。

研究がしたかったということですか。

 研究の新しいタネを探すのが企画開発のミッションで、アメリカに行くこともよくありました。仕事自体は面白かったのですが、大学の教育研究に興味を持ちました。

大学でも機能性材料の開発をされているとお聞きしています。日産化学のときと同じ研究をされているのでしょうか。

 半導体などのデバイス開発では、日本は韓国などに負け気味ですが、日本の材料メーカーの技術力は世界のトップクラスですし、国際競争力も非常に強いといえます。日本はこの分野で未来を切り開いていくことが大切だと思っていますし、大学でも機能性材料の研究をすべきだと考えています。ただ、会社にいたときとまったく同じ研究をしても意味がないし、面白くない。そこで感光性のインク材料を研究テーマに選びました。本学が環境配慮を重視していることもあり、大学では植物由来の材料開発をすることにしたのです。

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