One Hour Interview
史上初の有機系二次元トポロジカル絶縁体の創成にチャレンジ
坂本良太
スピントロニクスの可能性
本当に何ですか、それは?
バルクは絶縁体なのに、エッジ部分はスピン偏極した金属性を示す物質のことです。エッジというのは、三次元系であれば面、二次元系であれば縁のことを指します。これは物理学の範疇なのであまり詳しくないのですが、電流ではなくスピンを超高速で流す特性があるのです。電流だとどうしても抵抗があるので、ロスが発生します。そのために微細化や省エネ化などには限界があります。電子の電荷とスピンの両方を用いた新しいエレクトロニクスであるスピントロニクスは、そうした限界をはるかに凌駕する可能性があります。
トポロジカル絶縁体はまだ実用化されていないのですか。
その存在が予測されたのが2005年のことです。今のところ無機系しか発見されていなくて、三次元のトポロジカル絶縁体は10種類以上実在例が報告されていますが、二次元系はわずか3例しかありません。ですから僕たちのジチオレンナノシートが二次元トポロジカル絶縁体だとすれば、史上初の有機系のものとなるのです。
トポロジカル絶縁体のデバイスができれば、効率化や省エネ化がもっと進むのですか。
そうですね。特に二次元トポロジカル絶縁体は三次元のものよりさらに優れていると言われています。