One Hour Interview
遺伝子組み換えシアノバクテリアによるエタノール生産を目指す
得平茂樹
シアノバクテリアが可愛い
それができたら、次はどういう作業に入るのですか。
できたものをスピルリナの細胞の中に入れて、そのDNAが切られずにちゃんと保持されているか、また一つひとつ確認していくことになります。保持されていたら、その遺伝子をスピルリナが上手く働かせてビタミンB12ができるようになると考えられます。
でんぷんとビタミンB12の両方がつくれるようになると、トウモロコシよりコストが安くなりますか。
そう信じています。
これからやりたいことは?
とにかく研究がしたいですね。今の研究が面白いので、さらに発展させていきたいですね。
突然ですが、趣味はありますか。
今は趣味を全部やめて研究しているという感じです。中学から大学までは剣道をしていました。一応4段です。剣道のときはひたすら相手を観察し、ものすごく集中しました。
相手を観察するというのは、研究にも生きているのではないですか。
剣道との関連はよく分かりませんが、生き物をよく見るということはとても大事です。何も喋ってはくれませんが、いつもと違うところはないか、機嫌はどうか、できるだけ感じるようにしています。人間より、シアノバクテリアの方が面白いですよ。私はシアノバクテリアが可愛くて仕方ありません。実はメインで使っているのはスピルリナではなくアナベナというシアノバクテリアなのですが、妻からは「ベナ子」と呼ばれています(笑)。妻に言わせればアナベナは彼女のライバルだそうです(笑)。
首都大学東京大学院 理工学研究科生命科学専攻 准教授 得平茂樹[えひら・しげき]1974年、札幌市出身。東京工業大学生命理工学部卒。東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻博士課程修了。理学博士。埼玉大学、地球環境産業技術研究機構で博士研究員をした後、中央大学理工学部生命科学科に助教として入職。2013年4月から現職。現在、科学技術振興機構さきがけ研究者を兼任。現在はまだ受け持つ講義が少ないので、「ずっと研究室に入り浸り、自ら顕微鏡を覗いている」という。
「第31回松籟科学技術振興財団研究助成 受賞」
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