One Hour Interview
遺伝子組み換えシアノバクテリアによるエタノール生産を目指す
得平茂樹
DNAにリボンを付ける
現状はどういう段階なのでしょう。
まず、ハサミで切られなくする遺伝子を順番に大腸菌に入れているところです。スピルリナのハサミは11種類、あるいはもう少し多いかもしれません。DNAは、A、T、C、Gの4つの塩基が並んでいます。ハサミはその並びを見つけてそこを切ります。11種類のハサミがそれぞれ別の並びを見つけます。その並びのない遺伝子をつくるのは難しく、どうしてもどれかのハサミに見つかってしまいます。でも、ハサミが並びを判別できなくする遺伝子があるのです。それはDNAにリボンを付けるような遺伝子で、ハサミはそれを見つけても「これはリボンが付いているからいいんだな」と勘違いしてしまいます。そういうリボンを付ける遺伝子を、大腸菌に入れて、大腸菌の中でリボンを付けたDNAがたくさんできるようにしています。
リボンを付けること自体は難しくないのですか。
リボンを付ける遺伝子を、大腸菌の中に10数個入れる必要がありますが、これはそんなに簡単なことではありません。一番強いハサミはとにかく使えないようにしないといけないのですが、今はどれが一番強いハサミなのかすら分からない状況なので、1個ずつ試していくしかありません。
そうやって試して、ある程度分かってくるのはいつ頃になりそうですか。
う~ん…。そういうのは一番難しい質問で(苦笑)。年内にはなんとかと思っていますが、大腸菌のほうがリボンを付けられるのを嫌がっているケースも出てきているので、全部を試すことが最終的にできるかどうかは正直分かりません。