ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

ナノレベルでの表面科学で多彩な研究テーマに取り組む

吉村雅満

他大学や企業の研究も支援

その他にもいろいろなテーマがあるのでしょうか。

 撥水現象とか局所構造の解析などにも取り組んでいます。今は原子レベルでの局所欠陥構造に着目しているところです。今後重要となる電池技術においてもこのような欠陥の制御が性能向上に繋がります。それからフラーレンやグラフェンの構造で分子ベアリングもつくっています。

そうしたさまざまな研究も、すべてベースにあるのは表面科学というわけですか。

 もちろんそうです。

研究者として、こちらの大学のよいところは?

 地方の小規模の私学としては、研究環境には恵まれている方だと思います。私の研究室にはSPMやCNT合成装置などの大型装置も揃っており、研究に専念することができます。それとナノテクノロジーの分野では、榊裕之先生(学長)が大御所的存在ですから、アカデミックの世界でもそれなりの存在感を発揮しています。本校は多くの国立大学や独立行政法人の研究所と並んで、微細加工ナノプラットフォームコンソーシアムの拠点にもなっていて、他大学や企業の研究を支援しています。

研究に行き詰まったときの対処法はいかがですか。

 飲むしかないですね(笑)。それで気分転換します。以前は座禅もよくしていました。もちろん実際の観察や実験は学生がやっていますが、結果が出ないときは私もやります。そういえば最近は、私が自分でやることが多いですね。ということは、行き詰まっているんですかね(笑)。

先生のキャラクターのせいでしょうか、学生さんも皆さん、明るい雰囲気ですね。アカデミックに向く人と向かない人との違いはなんですか。

 この大学はドクターコースの学生の場合、ミニマム3ヵ月は外国に行かなければいけないことになっています。インターンシップなどを向こうで体験するんです。自分で考えることのできる人は、アカデミックに向いていると思います。学問とか研究は、何かクリエイトしていかないといけないわけですからね。指示されたことだけをしている人は、アカデミックの世界に向かないでしょうね。

豊田工業大学大学院 工学研究科 表面科学研究室教授 吉村雅満[よしむら・まさみち] 1963年、山口県出身。東京大学大学院工学系研究科博士課程物理工学専攻中退。東京大学工学部助手、広島大学工学部助教授を経て、1995年4月、豊田工業大学大学院工学研究科助(准)教授に赴任。2009年11月より現職。その間の2000年8月から約8ヵ月間、米国ローレンスバークレー国立研究所訪問研究員。趣味はテニス、ゴルフ、釣り。

「第30回松籟科学技術振興財団研究助成受賞」

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