ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

分子スケールナノサイエンスで使うスイッチング分子

松田建児

今こそ有機分子を設計する好機

先生は、電気回路を有機分子でつくろうとしているのですね。

 電気回路に使えるようなものですね。僕は、そのメカニズムが面白いと思っているんです。昔は分子1個1個で回路をつくるなんて夢物語だったのですが、近年はプローブ顕微鏡とかナノ構造制御といった微細加工や微細制御の技術が発達し、分子レベルの非常に小さなものをつくったり加工したりできるようになってきました。そういう意味で、今こそ有機分子を使っていろいろなものをつくるのにいいタイミングなのではないかと思っています。実際、今は学生さんがつくった分子も顕微鏡などで簡単に見ることができます。

 僕が学生の頃は、自分で分子を設計しても、本当に設計通りの形をしているのかどうか、半信半疑のところがありました。でも今はX線構造解析をすると、分子の形そのものを見ることができます。自分で考えた通りの形になっていることが確認できたときは、うれしいものです。自分でつくった分子は、我が子のような感じです。

こういうテーマで研究を始めたのはいつからですか。

 2003年頃だったと思います。イリノイ大学への留学から帰ってきて、さきがけ研究に選ばれた頃から本腰を入れるようになりました。

ということは、まだ10年ですか。

 まだ10年というか、もう10年ですね(笑)。研究というのは息の長いものです。学生さんは2~3年で卒業しますから、「あと10年くらいしたら答えが出るかもしれない」というと、途方もない長さだと感じるでしょうが、僕らはもっとずっと長いスケールで物事を考えます。それはある意味、とてもいいことだと思います。遠い将来にもしかしたら、ということをそれぞれのアイデアで研究していくことが大事ですし、そういう研究は大学だからできるものでしょう。どうなるかよく分からないテーマをつぶしてしまうのではなく、国全体として薄くてもいいからサポートしていれば、その中から面白い成果が出てくるかもしれません。おおらかに見てのサポートが必要ではないでしょうか。

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