ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

分子スケールナノサイエンスで使うスイッチング分子

有機分子を使って、電気回路や論理回路に応用できるものをつくりたい。
松田建児さんはそう考えている。分子構造を分子レベルの電気・磁気特性に結びつける分子エレクトロニクスと分子スピントロニクスの領域である。
金微粒子と有機分子で電流を制御できる光スイッチングシステムをつくるなど、すでに成果は着々と積み上がっている。
コンピュータや光学技術の発達と相まって急速に発展する注目の先端的な研究分野といえる。

松田建児

京都大学大学院
工学研究科合成・生物化学専攻 教授

自由に設計できるのが有機分子の魅力

まず、研究テーマについてお話しいただけますか。

 最近は太陽電池や発光素子などに使われる有機分子がたくさんあります。そうした機能性有機分子を使って電気回路をはじめとするさまざまなものに応用できる分子をつくり、そのメカニズムを明らかにすることを主眼にしています。有機分子は設計してつくることができるのが魅力です。緑色に発光するとか固めると発光するとか、こういう働きをする分子が欲しいというとき、それを設計してつくることが可能です。その場合、無機物を使ったときよりもより優れた性能のものをつくらないと意味がありませんが、発光素子などは無機物よりいいものがたくさんありますし、光を当てると形が変わるような設計は、有機物が得意とするところです。

すでに実用化されているものはありますか。

 一番よく使われているのは写真のフィルムでしょう。デジカメの時代になって影が薄くなりましたが、写真は、有機分子の設計をして機能を持たせるという原理で成り立っています。さまざまな色を自由につくれるようになったのも、色素を化学合成でつくれるようになったからです。

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