ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

つねに新しい方法論を追求、結合の切断・形成をコントロールし世の中に役立つ材料を提供

鳶巣 守

感覚・感触・感性が重要

3人のお子様がいらっしゃいます。

 研究中心の生活になっていますが、やはり子どもと一緒に遊んでいると癒されますね。年齢がばらばらなので、娘とはお絵かき、息子とはサッカー、一番下の子どもは、まだ1歳半なのでにらめっこ、とできる限り接するように心掛けています。ただ、学生と接するときにも感じますが、過保護と放任のバランスが非常に難しい。いつも手探りです。

教育者としてのスタンスは。

 化学という学問自体、未熟な部分があります。ですから、学生の主張や指摘が間違いだとは、誰にも言えません。私も否定しないようにしています。シロールを合成したときも、もし、私がこういう反応をすれば、こういうものが生成するはず、と指示していたとします。そうすると、期待以外のものができた場合、学生は興味を持たず、見落としてしまったかもしれません。期待したものでなくても、もっと面白い結果が出れば、そちらの方がいいのです。有機化学の実験は、感覚や感触、感性といったものが重要で、実際に手を動かして考えている人にこそ、強みがあります。うまくいかなければ、次にはその人なりの工夫が必要で、そのヒントは文献から得られることもあれば、実験や観察から得られることもあります。それを大事にして欲しいと考えています。村井先生も、茶谷直人先生(大阪大学教授)も、私が工夫をしていれば、「それは、止めておきなさい」とはおっしゃいませんでした。物怖じせず自分のアイデアを提案できる、そのサポートをしていければと、心掛けています。

大阪大学大学院 工学研究科 原子分子イオン制御理工学センター准教授 鳶巣 守[とびす・まもる] 1973年、大阪府生まれ。大阪大学工学部応用精密化学科卒。同大学院工学研究科博士前期および後期課程修了。その間、米国マサチューセッツ工科大学化学科留学。武田薬品工業(株)にて4年間研究員として勤めた後、2005年、大阪大学大学院工学研究科助手に着任。同特任講師を経て、2011年より現職。2010年、日本化学会進歩賞、2012年科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞。

「第29回松籟科学技術振興財団研究助成受賞」

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