伝説のテクノロジー
松やにの風味香るギリシャワイン『レッツィーナ』”
ソムリエ 阿部 誠さん
「ジン」に似ていると評する人も
2005年にオープンした「ヴィオニス」は、シャンパーニュ専門のバーで常時300種類前後のシャンパーニュを揃えている。最も高額なものだと、店内での価格が1本100万円ほど。限定品で、日本国内だとこの店でしか飲めないシャンパーニュが置かれていることもある。ただ逆にシャンパーニュ以外のアルコールはワインを1~2銘柄置いているだけ。ウイスキーや焼酎はもちろんのこと、ビールさえまったく置いていない。
「オープンした当時は、シャンパーニュに特化した店は他にありませんでした。3年に1回くらい、“とりあえずビール”と注文するお客様が来ます」と苦笑する阿部さんによると、『レッツィーナ』を初めてテイスティングした日本人の大半はまず「ウッ」と驚きの声を漏らすそうである。
ただ、同じ『レッツィーナ』でも生産者によって風味は微妙に異なる。今回、テイスティングしたのは「RETSINA OF ATTICA」で、ギリシャ南東部のアッティカでつくられたものだ。生産者は「クルタキ家」で、ブドウの品種はサバティアノ100%、アルコール度数は約12%である。
まず香り。これは思ったほど強くなかった。少なくとも「ウッ」とくることはなかった。そして一口。雑味のある白ワイン、というのが第一印象だった。『レッツィーナ』の味を、「ジン」に似ていると評する人もいるが、あながちそれも間違いではないという感じがする。ただ、1杯、2杯と飲み進めると、やはりなかなか癖が強い。
「サバティアノは酸味の強いブドウです。ですから『レッツィーナ』と合うのは、どちらかといえばスパイシーな料理でしょう。カレーと相性がいいという方も意外に多いですよ」