伝説のテクノロジー
松やにの風味香るギリシャワイン『レッツィーナ』
ソムリエ 阿部 誠さん
味覚、嗅覚は鍛えられる
阿部さんは2002年度の第3回全日本最優秀ソムリエコンクールで優勝し、2004年に開かれた世界最優秀ソムリエコンクールに日本代表として出場した経歴の持ち主。このときの世界大会がギリシャで開かれたこともあり、ギリシャワインについては特によく勉強したという。
コンクールでは、筆記試験と実技試験(テイスティングとサービス実技など)が行われる。筆記試験は英語かフランス語を選択でき、1時間で200問くらいが出題される。ワインについての知識を問われるのが基本で、「ギリシャでのコンクールでは『レッツィーナ』の定義について記述する問題も出ました」という。
テイスティングの試験はもちろんブラインドで行われる。ワインだけかと思いきやブランデーやリキュールも出題されたそうである。スプーン1杯ほどの量を口に含み、色、香り、味わいなどをコメントし、産地や年数を答えるのが基本だ。ブドウの出来は同じ産地でも年ごとに違うから、当てるのは至難の業。阿部さんは今でも毎年、フランスなどのワイン産地を訪れているが、そういうときは100種類から200種類のワインやシャンパーニュをテイスティングするという。
「ワインなら、テイスティングで産地はだいたい分かります。味覚、嗅覚は鍛えられるもので、ソムリエなら普段から研ぎ澄ましておくことが必要です。味や香りだけでなく、そのとき自分が感じた感覚も理解して覚えておかないといけません。味覚というのは、上へ、上へと求めていくところがあり、おいしいと感じても、もっとおいしいものを味わったら、やはりこのほうがおいしいと感じます。でもソムリエは、最初に味わったおいしさもきちんと覚えているものです」