次代への羅針盤
リスクを恐れず、もっともっとアクティブに
赤井周司
失敗の経験も自分の力に
私は1997年、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)に留学した経験があります。このときは、研究室の運営、研究の進め方、学生の自主性など日米の違いをいろいろな場面で体感しました。最近の学生や若い研究者は留学に消極的だと聞きますが、若いときこそどんどん海外に行って見聞を広めてほしい。
最近私は、年に2回ほど海外の学会に出席しています。その中で、時間があればスーパーマーケットなどに行ったりします。現地の人の生活を肌で知ることができるからです。研究の役に立つかどうかわかりませんが、大切なのは何でもいいので好奇心を持ち、積極的に行動することです。
残念ながら、日本人は全体調和を重んじ、人と違うことをしたり、リスクを取ることにしり込みする傾向があります。新しいことに挑戦すると、失敗することも多いでしょう。けれども、その経験から学んだことを自分の力として蓄えていけば、きっと次のチャンスが来るはずです。おそらく、企業もそういう人こそ必要としているのではないでしょうか。
最近、スポーツの世界では海外で活躍する若い日本人が増えました。そういう人の活躍を見ていると、こちらも幸せな気分になり、元気になります。しかし、次代を担う人が、他人の活躍を見て喜んでいるだけではいけません。活躍の場、チャンスは人それぞれにあります。自分ができること、興味があることに真剣に取り組み、世界に飛び出していけば、必ず何かを得られるはずです。もっともっとアクティブに行動し、何かを生み出し現状を変える努力をしてください。
世界に飛び出していけば必ず何かを得られるはずです。
赤井周司[あかい・しゅうじ] 1960年、兵庫県生まれ。大阪大学薬学部製薬化学科卒業、同大大学院薬学研究科博士後期課程修了、薬学博士。日本学術振興会特別研究員、大阪大学薬学部助手、同大大学院薬学研究科准教授、静岡県立大学薬学部教授などを経て2013年より現職。趣味は野菜づくり。自宅の庭でトマト、キュウリ、ゴーヤなどをつくっている。植える前に土を60センチほど掘り起こすのが、おいしい野菜をたくさんつくるコツだという。
[第20回松籟科学技術振興財団研究助成受賞]
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