ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

リスクを恐れず、もっともっとアクティブに

酵素と遷移金属という異種の触媒を組み合わせるという独自の発想で、
有機化合物の新しい合成法の開発に取り組んできた赤井周司氏。
その独創性が評価され昨年日本薬学会賞を受賞した赤井氏は、リスクを取って挑戦することの重要性を強調する。

Shuji Akai

赤井周司

大阪大学大学院 薬学研究科 教授

受賞で無言の圧力から解放

 昨年、私は日本薬学会賞を受賞しました。この賞は薬学会で最も権威ある賞であり、薬学部に所属している研究者の多くがこの賞を目指しています。その賞をいただいたのですから大変な名誉でありうれしかったのですが、実はほっとした気持ちもありました。

 というのも、私が学生のときに所属していた大阪大学薬学部の研究室では、当時の教授と准教授、そして助手を務められていた先生方がその後、皆この賞を受賞されていたからです。私は「君もいずれ受賞しなさい」という無言のプレッシャーを感じ続けていて、今回の受賞でそのプレッシャーからようやく解放されました。

 私は高校生のとき、五教科の中で化学が一番好きでした。分子が変化したり結晶ができたり、目に見える変化が起きることに面白さを感じていたのです。だから、大学に進学するときには、化学を専攻しようと決めました。化学は工学部、理学部、薬学部などいくつかの学部で学ぶことができます。将来医薬品をつくる仕事に関われたら大勢の人の役に立てるだろうと考えた私は、薬学部を選びました。

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