研究予算減は国力衰退の元

　私たちが若かった頃は、研究室に配分される校費予算は、それなりに充足されており、研究に必要なお金に困ることはあまりありませんでした。しかし近年は学術研究の校費予算がどんどん減らされ、研究のベースが弱体化しています。学術研究の予算をカットすればそれがボディブローのようにじわじわと効き、国力の衰退につながっていきます。アカデミアの研究者は、しんどい思いをしながら一生懸命研究しても研究費がなかなかもらえず、安定したポジションにつくのが難しくなっています。それでは、若い人たちが研究者になりたいとは思わなくなるでしょう。サラリーマンの賃金も実質的には下がっているといいますから、富の分配が間違っているのではないでしょうか。

　化学の学術研究に関していえば、中国はすでに日本と肩を並べています。最近、日本の学術研究の予算を増やすという話が出てきているようですが、何とかしないとそのうちに追い抜かれると思います。