ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

もっと異分野にも出ていきなさい

加藤隆史

約60名の研究者が参集

 生体適合性という側面からも、これまでの材料にさらに高度な要求がされるようになってきています。例えば、60代以上の2割程度の方が使っているといわれている医療器具のステントは、多くの場合、金属でつくられています。そのため体内に入れると異物と認識されて血栓ができやすくなるために、血が固まりにくい高分子でコーティングしたり、一定の期間がきたら交換したりする必要があります。このような背景から、人体に優しい材料の開発が注目され、人体の重量の60%を占める水と材料の関係が重要視されています。

 人類の持続的発展に水は欠かせませんし、SDGsでも水は重要な対象として位置づけられています。そうであるならば、これからは水が存在しても十分に働く材料の研究をする必要があります。そのためには水と材料を結び付けた新しい学問を創り、環境や生体とより親和性の高い材料を創製していくべきではないかという議論を活発化させています。そういう発想から生まれたのが水圏機能材料という概念です。有機化学、高分子化学、物理学・精密計測学、計算科学、工学、生物学を含めた広い視点を取り入れ、水と物質の構造・機能相関の基礎学理に依拠した新しい学術体系を確立しようというのが私たちの目的です。将来的には水圏材料科学という普遍的な大きな分野ができたらよいと思っています。

 現在、水圏機能材料領域には約60名の研究者が参集しています。領域は①分子・材料構築、②先端計測・シミュレーション、③機能開拓という3つのグループからできていて密接に連携して研究を進めています。

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