次代への羅針盤
才能ある研究者は国の宝です
松永 是
世界に誇れる海洋研究機関
現在、私は国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の理事長を務めています。
JAMSTECは1971年に海洋科学技術センターとして発足してから今年で50年となります。神奈川県の横須賀に研究本部を置き、職員数は約1,000名。地球深部探査船「ちきゅう」、深海潜水調査船支援母船「よこすか」等7艘の船舶、有人潜水調査船「しんかい 6500」、複数の無人探査機、世界有数の能力を持つスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」などを有する、日本が世界に誇れる海洋の研究機関です。
研究部門は、地球環境、海洋機能利用、海域地震火山、付加価値情報創生、超先鋭研究開発、研究プラットフォーム運用開発の6部門があります。海域地震火山部門では南海トラフ地震を主要な対象に、紀伊半島や四国の沖の海底にセンサーを設置して、海底の変化を24時間監視しています。平均水深3,800mとされる深海は超高圧の過酷な環境で、その探査には宇宙開発に引けを取らないほど高度な技術やノウハウを必要とします。
2021年度からは新たな北極域研究船の建造プロジェクトが始まります。厚い氷で覆われた北極海には従来、船で行くことが難しかったのですが、温暖化の影響で氷が薄くなったり少なくなったりしているため、最近は大型の船で行けるようになってきました。しかしJAMSTECが保有している海洋地球研究船は砕氷機能を装備していません。そこで次期の研究船は砕氷機能を装備したものになる計画です。