次代への羅針盤
才能ある研究者は国の宝です
松永 是
磁性細菌の全遺伝子を解析
なぜ体内に磁石があるのか、私はそこに興味を惹かれました。そこで私はゲノム解析などバイオテクノロジーの技術を使って磁性細菌の全遺伝子を読み取ろうとしました。そして2000年頃に世界で初めて磁性細菌の遺伝子をすべて読むことに成功したのです。
遺伝子情報をすべて読み込んだことで、磁性細菌が体内に磁石をつくる理由も解明できました。地球上に昔からいる微生物の中には、酸素があると死んでしまうものがいますが、磁性細菌もそれと似たところがあり、酸素が苦手なのです。だから地磁気に沿って移動し、酸素の少ないほうに向かって動いていくのです。
私は1981年、米マイアミ大学海洋大気研究所に博士研究員として留学したのを機に、海洋微生物の研究を本格的に始めました。
日本の国土面積は決して大きくありません。けれども四方を海に囲まれ、島も多いため、排他的経済水域(EEZ)の広さは世界でも6番目の大きさになります。しかも地球の表面のおよそ7割は海洋です。地球規模で考えると、そこに生息する生物の生態は、地球や人類に大きな影響を与えています。地球環境や気象にも多大な影響を及ぼしています。海はまさに資源の宝庫であり、研究のフロンティアでもあるのです。