ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

才能ある研究者は国の宝です

松永 是

国際学会の立ち上げに奔走

 そうして海洋生物の研究に打ち込んでいった私は、海洋生物の研究にもバイオテクノロジーを適用するべきだと考え、マリンバイオテクノロジーという新しい領域を学問として確立したいと思うようになりました。

 学問として確立するためには、学問的な業績を上げなければいけません。その分野の国際的な学術ジャーナルもつくる必要があります。そして国際的な学会をつくることも不可欠です。

 ですからこの研究を始めた頃、私は世界各国に行き、マリンバイオの重要性を説いて回ったものです。私たちの取り組みを応援してくれる人は海外にもいました。一方で、欧米各国を差し置いて日本がリードすることに反発する研究者たちがいたこともまた事実です。新しい国際学会を立ち上げるというのは、並大抵の努力でできるものではないということをこの頃の私は痛感させられました。

 それでも1989年には東京で第1回マリンバイオテクノロジー国際会議を開くことができ、1993年には国際学術誌「ジャーナル・オブ・マリンバイオテクノロジー」の第1巻を発行。そしてついに国際マリンバイオテクノロジー学会を発足させることができたのでした。当時は私も研究者としてはまだ若手でしたが、いい経験だったと思います。2005年にはこの国際学会の会長も経験させていただくことができました。

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