ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

自分の良さを伸ばせばいいのです

山本 尚

分子レベルの制御が最終方法

 21世紀に入ってから、さまざまな研究領域の融合が進んでいます。既存の境界領域研究だけでは不十分で、複数の分野間を貫通した新しい研究領域が必要とされています。その中心的な役割を果たしているのが分子技術です。

 ものをどんどん小さくしていくと、最終的には分子に行きつきます。もちろん量子などはもっと小さいわけですが、そこまで行くともう物性とは関係なくなってしまいます。だから分子レベルで制御するのが最終的な制御方法になるのです。

 科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業で私が研究総括している「新機能創出を目指した分子技術の構築」プロジェクトでは、分子を設計して使っていれば何をしてもいいという大まかなテーマを設定しています。大まかなテーマなので、医薬品とか太陽電池とか面白い骨格のマテリアルとか、いろいろな分野の研究が混在しています。そうすると、そこからいろいろな情報が出てきます。その情報を組み合わせるとまたそこから面白いテーマが出てくる。私は参加している先生方に、何をしてもいいが、必ず場外ホームランを打ってくださいと言っています。センター前ヒット程度のことならいちいち私に報告する必要はありません。

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