機能性樹脂では、優れた機能を持つ有機および高分子材料として、長年に渡りインキ、塗料、粘接着剤に使われる合成樹脂を開発してきました。
近年ではVOC削減効果が大きい非水分散型や水系の塗料用樹脂、情報機器や半導体分野で用いられる有機-無機ハイブリッド材料への展開を進めています。
また当社の基盤原料であるロジン、脂肪酸をベースとした製品との融合により、脱炭素社会に配慮した、特徴ある製品づくりを行っています。
有機溶媒中にポリマーの微粒子が分散したものをNAD(Non Aqueous Dispersion)と呼び、この技術を応用した塗料用樹脂です。
塗料に使われる溶媒が有機溶媒から水へ転換する大きな動きはあるものの、性能や作業性における課題が多く、比較的安全性の高い溶媒を使用した塗料の需要が高まっています。
NADは、粘性を上げずに高分子量化や高濃度化ができ、性質の異なる成分を組み合わせた幅広い樹脂設計ができることに加えて、チキソ性を持つことから塗装時の作業性も大幅に向上できます。
ディスプレイから自動車外装などに至るまで、埃の付着や手の接触による汚れや傷を目立たなくさせる需要が高まっています。
従来は、硬くて強い塗膜を形成させて表面を保護する技術が一般的でしたが、一度ついた傷が消えず、かえって目立ってしまうという課題がありました。
材料の表面物性を制御する研究に長らく取り組む中で、塗膜の形状を保持する成分と外力で柔軟に変形する成分を複合化させることにより、ついた傷が時間とともに消失する傷復元性を付与する技術を開発しました。
金属からプラスチックまで、幅広い基材への適用性とともに、耐候性を向上したコート剤は、車体を保護するプロテクションフィルムとして展開を進めています。
近年、電子部品の製造工程で使われる離型フィルムの需要が高まっており、精密な成形、成膜において必要不可欠なものとなっています。
当社はこのような離型フィルムに優れた機能を付与する離型剤を開発しています。これまでに培った種々の樹脂合成技術を活かし、塗布された離型剤がフィルム基材の表面・界面で配向性を持つよう設計することで、フィルム基材への密着性、表面の平滑性、離型性を大きく向上させます。
汎用性に優れた溶剤系タイプに加えて、環境面・安全面を考慮した水系タイプの開発を進めています。
有機材料と無機材料は物性が大きく異なるため相溶しませんが、ナノサイズの微細な分散液とすることで、両者の機能を発揮する材料として利用できます。
ナノ粒子としては種々の金属酸化物系の素材が知られており、種類によって高屈折率や耐候性等の多彩な機能を発揮します。
また、分散剤には当社独自の樹脂設計技術が組み込まれており、分散性はもちろんのこと、バインダ樹脂の硬化性、他の配合成分との相溶性などの機能を付与できます。
当社のナノ粒子分散液は、透明性と高屈折率を活かして、ディスプレイ用の光学フィルムなどに展開しています。