One Hour Interview
皮膚のように柔らかな電子材料を追い求めて
松久直司
多様な学生が集まる学際的な研究環境
これからの目標を教えてください。
私たちがつくったものでしか取ることができない、非常に意味のある生体情報を取れるようにすることが現在の目標です。
また、多くの人たちが面白いと感じてくれるヒューマンインターフェースをつくれればとも思っています。例えば、ディスプレイ機能を持つ透明なシートを顔に貼っておくと、人と目が合ったときに頬の色が変わる。そんなものができると、新しいコミュニケーションツールになるかもしれません。
東大の先端科学技術研究センターの研究環境はいかがでしょうか。
先端研はさまざまな分野から研究・分析を行う学際性に特長があり、多様な学生が集まっています。私たちのように学際的な領域の研究を行っている研究者にとっては、恵まれた環境です。私は受け持っている講義が少なく、雑務も少ないので、研究にほぼ専念できるのも助かっています。
スタンフォード大学は本当に素晴らしかったのですが、先端研は東京にありますから、文化的な背景が充実しています。博物館や美術館などの施設がたくさんあり、いろいろなイベントも行われています。駒場の近くにはいい居酒屋もあり、学際的な交流に最適です。

松久直司[まつひさ・なおじ] 1990年、大阪府生まれ。東京大学工学部電気電子工学科卒業。同大大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。シンガポール南洋理工大学材料工学科研究員、スタンフォード大学化学工学科ポスドク研究員、慶應義塾大学理工学部電気情報工学科専任講師、同客員准教授、東京大学生産技術研究所准教授を経て、2023年4月より現職。2022年、マサチューセッツ工科大学のテクノロジーレビューイノベーターズアンダー35グローバル部門を受賞。趣味は日本酒、ビール、ゲーム。三児の父親。
[第38回 松籟科学技術振興財団研究助成受賞]
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