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One Hour Interview

One Hour Interview

皮膚のように柔らかな電子材料を追い求めて

松久直司

工学科で材料研究に没頭

このようなテーマで研究をしようと思われたのはいつ頃からですか。

 東京大学工学部電気電子工学科に入ってからですね。どんな研究をしようかと思っていろいろな研究室を見ていたら、導電性を持つゴムの研究をしているところがありました。通常、ゴムは電気を通さないため絶縁体として使われますが、そのゴムに導電性を持たせる研究ということで俄然、興味が湧きました。しかし、研究室に入ったらその研究はすでにやめたということだったんです。

ハシゴを外されたような格好になりましたね。

 電気電子工学ではなく、材料寄りの研究だったからでしょう。あるとき指導教員の先生から「電気電子工学科で材料の研究をしても、材料を専門に研究している人には勝てない。やめたほうがいい」といわれました。しかし私は「導電性を持つゴム」というアイデアに魅了されていたため、めげずに研究を続けました。すると、結構いい材料ができたんです。それで、ますますそちらの方向に興味を持つようになっていきました。

大学院も電気系ですよね。

 はい。東大大学院の工学系研究科で博士号を取り、そのあとシンガポールの南洋理工大学の材料工学科で研究員をし、ポスドクでスタンフォード大学の化学工学科に行きました。

スタンフォード大学は世界的に有名ですし、南洋理工大学もアジアではトップレベルといわれています。

研究室には女性も多く在籍し、日々研究に励んでいる

 スタンフォードでは化学工学科の研究室でしたが、バイオロジーや電池などいろいろな分野の研究者がいて、世界一の研究はこういうところから生まれるのかと思いました。今、私の研究室には学生が20人くらいいますが、生物、有機合成などさまざまな分野の学生がいて、国籍もフランス、スロバキアなどさまざまです。日本人より外国籍の学生のほうが多いくらいです。そうした多様性も1つのバックグラウンドとして、面白い研究ができればと思っています。

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