ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

今、見えないものを見えるようにしたい

馬越貴之

「ありがとう」といわれる研究

そもそもいつ頃から顕微鏡に興味を持つようになったのですか。

 遅くても小学校の高学年の頃には関心がありましたね。母方の祖父が地質学の研究者で、夏休みに実家に行くと顕微鏡をのぞかせてくれたりしました。予想外のものが見えると面白くて、消しゴムの消しかすなども見ていました。その興味は薄れることなく、ずっと持ち続けていました。

今後の目標についてはいかがですか。

 これは河田先生がおっしゃったことですが、基礎研究は論文を書くと「おめでとう」といわれる。もちろんそれも大事なことですが、その技術や知見が社会実装されれば、それを使った人から「あなたの研究で助かりました。ありがとう」といわれる。せっかくするのならそういう研究をしなさい、と。社会に還元できる研究をこれからも目指していきたいと思います。

2021年に講師になられましたが、今後のキャリアプランはどのように描いておられますか。

 とにかく好きな研究をし続けたいですね。でも私は興味の赴くままに進む方向が変わるのは、悪いことだとは思っていません。研究は楽しいし、今のところうまくいっているからいいですが、もしにっちもさっちもいかなくなったら全然違う方向に行くこともあるかもしれません。大学にいながら起業するとかもありでしょう。小説を書いてみたいとか、サイエンスコミュニケーターになってみたらどうだろうと想像することもあります。5年先、10年先のことはわかりませんね。

大阪大学 高等共創研究院講師 大学院工学研究科物理学系専攻 応用物理学コース 講師 馬越貴之[うまこし・たかゆき] 1989年、岡山県生まれ。大阪大学工学部応用自然科学科卒業。同大大学院工学研究科精密科学・応用物理学専攻博士課程修了。工学博士。日本学術振興会特別研究員、金沢大学理工研究域バイオAFM先端研究センター博士研究員、大阪大学大学院工学研究科精密科学・応用物理学専攻助教、同工学研究科物理学系専攻応用物理学コース助教を経て2021年より現職。応用物理学会光若手チャプター代表。「友達が多いこと」が研究者としての長所。「地頭もそれほどよくないので、本を読むより人に聞いて教えてもらうほうが早くていい」という。

[第35回 松籟科学技術振興財団研究助成受賞]

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