ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

今、見えないものを見えるようにしたい

馬越貴之

世界最高速度を実現

先生は高速超解像顕微鏡を開発し、世界最高速度を実現されたそうですね。

 安藤先生が開発した高速原子間力顕微鏡に用いられる探針の高速スキャン技術を応用し、高速ナノ分析イメージング技術を開発してつくったのが高速超解像顕微鏡です。まだ詳しいことはお話しできませんが、この顕微鏡を使うと従来10分かかっていたものが秒単位でできるようになります。これだけ高速化できれば、生きている状態の生物をかなり正確に観察することができます。ペロブスカイト材料にしても高速で観察すれば、劣化するプロセスを追うことも可能になると思います。

生物を見たいということですが、どんな生物を見たいのですか。やはり細菌などの微生物やウイルスですか。

 そうですね、ごく小さな生き物です。ただ、この顕微鏡は探針を使うので、生きている状態の生物の内部を観察することはできません。内部を見ようとすれば生物に探針を刺さなければなりませんから。でも逆にいうと、細胞膜の表面などを見るのは得意です。ウイルスの大きさは100ナノメートルくらいなので、ちょうどいい対象です。ウイルスのスパイクタンパクなどを見るのに最適な技術になると期待しています。

取得した画像の解析をしながら、学生とディスカッション

新聞や雑誌などでは新型コロナウイルスのスパイクタンパクの画像がよく出ています。もうすでに見ることができているのではないのですか。

 実はああいう画像は想像で描いたものなのです。活きた状態のウイルスの体表面にあるスパイクタンパクを1つ1つ、実際に観察できたことなどありません。失活したウイルスを電子顕微鏡で見て、その画像から類推しているにすぎません。活きた状態のウイルスのスパイクタンパクがどう動いているか、見ることができたらめちゃめちゃすごいことですよ。私はそこを目指しています。

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