ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

社会実装を目指し機能性色素を創出

大山陽介

先細りが懸念される研究環境

研究室を立ち上げたときはいろいろな分野の人を集めたとお聞きしていますが、それはなぜですか。

 一つは先ほどお話しした、いろいろなところにアンテナを張るというのが目的です。だから准教授には熱電変換のデバイス系が専門の人、助教には高分子が専門の人を迎えました。実は、私は高分子の知識がまったくないんです(笑)。高知大学の理学部には高分子の講義がなかったんですよ。これもいろいろな分野の人を集めた理由の一つです。水センサーをフィルム化するには高分子の知見が欠かせませんからね。

今後の目標やプランはいかがですか。

 非常に悩ましいご質問ですね(笑)。定年までの20年足らずで何ができるのか、模索しています。機能性色素の基礎的な研究はしっかりやらなければいけませんが、一方で社会実装も実現したい。でも、少子化でこれからは学生の数も減っていくでしょうし、教員もスタッフもどんどん減っています。そういう意味で研究環境は先細りしていますから、何かを捨てなければいけないのかなと思い悩んでいます。

研究環境ということでいえば、コロナ禍の影響はいかがですか。

 学生とのコミュニケーションが減ってしまいました。飲み会ができなくなったのは致命的ですね(笑)。今の学部2年生は友達ができないといっていますし、メンタルをやられる学生もけっこういます。ただ、学部の授業はもう90%以上対面に戻っています。でも大学院は今もオンライン授業がメインです。院生には、オンラインのほうがわかりやすいと好評です。

広島大学 大学院先進理工系科学研究科 先進理工系科学専攻 応用化学プログラム 教授 大山陽介[おおやま・ようすけ] 1977年、香川県生まれ。高知大学理学部化学科卒業。同大大学院理学研究科応用理学専攻博士後期課程修了、理学博士。修士課程修了後、1年間、民間企業に勤務した後、日本学術振興会特別研究員、広島大学大学院工学研究科助教、ドイツ・IFWドレスデン訪問研究員を経て、広島大学大学院工学研究科准教授に就任。2017年4月より現職。高知大学の学部生だった頃は「遊び倒した」というが、修士課程に進学すると後輩に質問される機会が増え、それがきっかけで勉強が楽しくなったという。今も平日は深夜0時ごろまで大学にいることが多い。

[第30、36回松籟科学技術振興財団研究助成 受賞]

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