One Hour Interview
社会実装を目指し機能性色素を創出
大山陽介
医療用色素も研究
病気の治療に使える色素も研究していらっしゃるそうですね。
すでに皮膚がんの治療などにはポルフィリンという色素が使われています。しかしこの色素は代謝が悪く、体内に長く滞留していると正常な細胞にも害を与える問題があります。なので、これに代わる治療用の色素が望まれています。私もそれを研究していますが、医療用の色素の開発はハードルが高く苦戦しています。私たちは今、失敗したデータを集めて、他の研究者の方々に向けて発信しています。失敗したという経験は一つの成果だと思います。そういう意味では、研究に失敗はないともいえます。
最近はSDGs(持続可能な開発目標)に資する機能性色素の開発にも力を入れておられるそうですね。
人生100年時代といわれていますが、100歳まで長生きするのなら健康な状態で生きていたいですよね。そういう方向で色素を役に立てたいと考えています。がん治療用の色素もそうした発想から取り組み始めたものです。機能性色素は社会実装されてこそ価値があるものです。基礎をしっかり研究したうえで世の中に具現化していくことが重要です。