One Hour Interview
100%を超える価値の創造を目指して
波多野 学
今はプレイングマネジャー
バイオディーゼルの研究では松籟財団の助成を受けられましたね。
私の場合は名古屋大学から本学に転じる直前のタイミングに助成をいただきました。この研究は今も名古屋大学との共同研究の形で続けていますが、名古屋から化合物を全部持ってくるわけにもいきませんので、新たに材料を用意する必要がありました。ですから、いただいた助成金はすべて材料の購入に使わせていただきました。有機合成化学は材料にお金がかかる学問なんです。
教授になられた今もご自身で実験などをされているのですか。
しています。自分も実験室に入らないと学生が何に困っているかわかりませんし、薬学部での作法や機器の使い方などを知らなかったということもありましたから。プレイングマネジャーのような感じですね。
研究や実験は楽しいですか。
楽しいですよ。エステル合成はできて当たり前のようなところがあります。収率も100%が当たり前。だから100%を超える仕事をしなければいけないんです。そこがエステル合成の魅力でもあり、困難なところでもあります。100%を超える価値を目指すのがエステル合成の醍醐味ですね。奥深い学問です。
神戸薬科大学 薬学部生命有機化学研究室 教授 波多野 学[はたの・まなぶ] 1975年、東京都生まれ。東京工業大学工学部化学工学科卒業。同大大学院理工学研究科応用化学専攻博士課程修了、博士(工学)。日本学術振興会特別研究員、名古屋大学大学院工学研究科助手・講師・准教授を経て、2020年4月より現職。2017年、日本プロセス化学会JSPC優秀賞受賞。神戸薬科大学で単身赴任だったときは毎日のようにスカイプで長男、次男と面会するのが楽しみだったという。
[第24、37回松籟科学技術振興財団研究助成 受賞]
0.1 MB