One Hour Interview
肺高血圧症の治療薬開発へ
山村寿男、山村 彩
創薬につながる芽が出てきた
この開発は奥様との共同研究とお聞きしています。
正確に言えば名古屋市立大学と愛知医科大学の共同研究です。僕の妻は名古屋市立大学の同じ研究室の出身で、2010年には一緒にイリノイ大学シカゴ校に留学しています。彼女はもともと薬剤師教育に携わる臨床教員を目指していましたが、留学時の研究が面白くなり、臨床から基礎研究にシフトしたんです。僕のイオンチャネルに対して彼女は受容体が専門で、それぞれの専門からPAHをターゲットにした創薬に取り組んでいます。
共同研究でお二人の役割分担はどうなっているのですか。
イオンチャネルの研究に関しては僕がプランを考え、実験などのドゥは彼女です。受容体の研究に関しては彼女がプランを考え、実験しています。僕はアドバイスの係です。留学してPAHに出合ってからは、お互いの強みを生かして、研究を進めています。一応、僕の研究成果の多くは彼女のおかげだと思っていますよ。
薬理学者は皆さん、自分で薬を作るのが目標だとおっしゃいましたが、自分が作った薬が実際に上市されるという経験は一生のうちに1回あればいいほうだといわれます。
まさにそのとおりですね。かなり狭き門です。
先生はイオンチャネルの研究を約20年されてきたそうですが、薬までたどり着いたご経験は?
残念ながらありません。教授としての20年で薬を創りたいと思っています。実は今、その芽が出てきたところです。