One Hour Interview
生体分子と人工分子でつくる 超分子ナノ構造体
池田 将
若いときどういう先生に師事するかも重要
現状はうまく進んでいるのですか。
私は自分の興味を出発点にしているので、壁に当たるということは……、出たとこ勝負のようなところがあるんです。新しい分子ができたら、では何に使おうかと考える。そんな感じですから(笑)。
興味が出発点といっても、やたらあちらこちらに手を出すわけではないですよね。興味が向く方向はある程度定まっているのではないですか。
それはそうですね。医療などの役に立ちたいという方向性はあります。
先生ご自身、今も実験で手を動かしているのですか。
多くの実験は学生がしていますが、ときおり自分も顕微鏡を覗いたり、熟練を必要とするような実験は学生と一緒にしたりしています。
熟練を必要とするところがあるのですか。
大学や研究室にもよるでしょうが、博士課程の学生くらいになると普通にできる実験が、学部生とか修士の1年生くらいだとできないことがあります。理系特有のことなのか、突如として興味を掻き立てられ、集中力が高まる学生がいます。そういうときに指導すると急にいろいろなことを吸収して伸びる。そういうことは何回か経験しています。
ご自身もそういうときがありましたか。
あったと思います。ただそれは恩師の影響かなとも思います。九州大学で新海征治先生の研究室に入ったとき、新海先生(HQ138号「次代への羅針盤」登場)が自分はこんな研究をしているととても楽しそうにお話しされていました。それをお聞きして私もこれは面白そうだと思い、分子を扱う研究にものすごく惹かれるようになったのは間違いありません。名古屋大学の八島栄次先生には美意識を鍛えられましたし、京都大学の浜地格先生の研究室はいろいろなテーマの研究をしていて、引き出しをたくさん授かりました。岐阜大学に来たときの北出幸夫先生の研究室ではもともと核酸を扱っていて、私にとってはラッキーでした。若いとき、どういう先生につくかということはとても重要なことだと思いますね。
岐阜大学 工学部化学・生命工学科教授 池田 将[いけだ・まさと] 1975年、愛媛県生まれ。九州大学工学部応用物質科学科卒。同大学院工学府物質創造工学専攻博士課程修了。博士(工学)。九州大学大学院工学府、ルイ・パスツール大学・日本学術振興会特別研究員、JSTERATO八島超構造らせん高分子プロジェクト博士研究員、九州大学大学院工学府特任助教、京都大学大学院工学研究科助教、岐阜大学工学部准教授を経て2017年より現職。今は「小学3年生になる双子の娘と同じ趣味を持つのが楽しい」とのこと。
[第35回松籟科学技術振興財団研究助成 受賞]
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