One Hour Interview
生体分子と人工分子でつくる
超分子ナノ構造体
ペプチドなどの生体分子と人工分子を結合させてつくる超分子ナノ構造体。池田将さんはそれを使って医療に役立つ材料の開発を目指している。
池田 将
岐阜大学
工学部化学・生命工学科 教授
生命機能を模倣したものをつくりたい
超分子ナノ構造体を開発されているそうですが、超分子ナノ構造体とはどういうものですか。
特異的な相互作用で複数の分子が集まってできあがる分子集合体のことを、超分子と言って扱っています。それがナノサイズになったものが、超分子ナノ構造体です。
分子が勝手に集まるのですか。
そうですね、ただ分子を上手にデザインしないとそういうことは起きません。上手にデザインしたうえで、接着剤のようなものを付けて分子が集まりやすくしておけば、特異的な構造体になります。
どういう目的で超分子ナノ構造体をつくるのでしょうか。
生命システムもそういう超分子構造体でできています。細胞にしても分子が集まってできている構造体です。そういった生命の機能を模倣したものをつくりたいという気持ちが、1つのモチベーションとしてあります。もう1つはそういった構造体の材料を使って医療に使うとか、医療用の材料にすることが可能になると考えているからです。
生命システムを模倣したいというのは、何かの役に立つからですか、それとも役に立つかどうかは関係なく、とにかく生命システムに似たものをつくりたいのですか。
とにかくつくりたいという気持ちは確かにあります。ただ、それが全然役に立たないのでは面白くないという気持ちもあります。そういう意味では何か役に立つものをつくりたいという気持ちが根本にあるのだと思います。