One Hour Interview
カロテノイドの機能を評価し、作用メカニズムの解明を目指す
菅原達也
大学での研究のよさ
その他にはどのような研究をされているのですか?
あとはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)ですね。そのままではなく、こうしたものをちょっとモディファイして活性が変わるかどうか見ています。他の先生と組んで、腸内細菌で脂肪酸を変換して機能性を評価する研究もしています。
先生は以前、民間企業に勤めておられましたね。大学に戻ったのはなぜですか?
学生のときはあまりまじめに勉強しなかったので、企業にいるときも何となく中途半端な感じがしたのです。それで国の研究所に入りたくなり、国家公務員試験を受けました。最終的には採用されませんでしたが、筆記試験には合格したので、頑張れば結構できるのではないかと考えて、学位を取ることにしたのです。
企業の研究とアカデミアの研究と、向き不向きはありますか?
僕の価値観は、向き不向きではなく、好きか嫌いかです。学生にもよく言っているのですが、ひとつのことをきちんとできる人間は、他のこともできるのですよ。企業の研究は、やると決めたら人も金も時間もどっと投入します。そこはうらやましく感じることもあります。でも大学では、誰からもこれをしなさいと指示されません。研究主体はあくまでも自分にある。そこはアカデミアの研究の何ものにも代えがたいよさだと思いますよ。
京都大学大学院 農学研究科 応用生物科学専攻 海洋生物生産利用学分野 教授 菅原達也[すがわら・たつや]1968年、埼玉県出身。東北大学農学部食糧化学科卒業。同大学院農学研究科食糧化学専攻博士前期課程修了。1993年、日本油脂入社。1997年、同社を退職し、東北大学大学院農学研究科食糧化学専攻博士後期課程に編入学。2000年、同課程修了。生研機構派遣研究員、科学技術特別研究員を経て2004年、京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻助教授、2013年から現職。趣味はテニス。今は愛猫クロエとの生活を楽しんでいる。
「第30回松籟科学技術振興財団研究助成 受賞」
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