One Hour Interview
カロテノイドの機能を評価し、作用メカニズムの解明を目指す
菅原達也
海藻でしわができにくくなる
カロテノイド自体に優れた特性とか機能があるのですか?
もともと抗酸性が強く、そういう面でも注目されていました。ベータカロテンは一般によく知られていますが、あれはビタミンAの前駆体です。ベータカロテンがいいということは1990年代から言われていましたね。ニンジンの赤い色はベータカロテンの色です。カロテノイドはベータカロテンと同じ構造を持つ類縁体です。
海洋生物というとまず魚を思い浮かべますが、魚は研究対象にならないのでしょうか?
魚も入れていいと思います。ただ魚に含まれているカロテノイドはそれほど多くありません。化粧品の成分として使われてよく知られているアスタキサンチンもカロテノイドの一種で、鮭の身やイクラの赤い色はアスタキサンの色です。でも、鮭やイクラからとるのではコストが合いません。僕たちが今、中心に扱っているのは海藻です。ワカメもそうですが、今、一所懸命取り組んでいるのは海松(ミル)(下記の写真参照)です。飛鳥時代から食べられていて、伊勢神宮の供え物にも使われている海藻で、英虞(あご)湾の方では今でも食べられています。これに入っているカロテノイドは独特な構造を持ち、活性がすごく強いのです。抗肥満作用があり、皮膚にしわができにくくなる作用もあります。