ハリマ化成グループ

伝説のテクノロジー

地車製作

文化を守り、地域に貢献
勇壮なことで知られる岸和田だんじり祭。
そのだんじりの製造や修理を通じて、大下工務店は
町の文化を守り、地域の活性化に貢献している。

関西地車製作事業協同組合理事長
大下孝治さん

急旋回「やりまわし」

 「地車」と書いて、何と読むかご存じだろうか。

 おそらく大阪では正しく読める人が多いだろう。さらに岸和田市に限っては間違いなく大半の大人が読めるだろう。

 正解は「だんじり(だんぢり)」である。岸和田だんじり祭で有名な、あのだんじりのことだ。

 岸和田だんじり祭は元禄年間にあたる1703年、岸和田藩主・岡部長泰が京都伏見稲荷を城内に勧請し、五穀豊穣を祈願したのが始まりとされている(諸説あり)。

 西日本では、祭礼に奉納される唐破風の大屋根・小屋根がついた山車のことを、昔からだんじりと呼んでいる。だから西日本では秋祭りのことをだんじり祭りと呼ぶことも多い。そうしただんじり祭りの中で、岸和田だんじり祭がひときわ知られるようになったのは、1980年代の末頃からである。その特徴は、とにかく勇壮なこと、もっと言えば実に荒っぽいのである。

 なにしろ高さは4メートル近くにも及び、重量は4トン以上にもなるだんじりを数百人がかりで曳くのだが、祭礼なのだから厳かに静かに曳くのかと思いきや、岸和田に限っては違う。角を曲がるときでさえ曳き手たちはスピードを緩めることなく走りながら直角に曲がろうとするのである。「やりまわし」と呼ばれるだんじり祭一番の見どころのこのときは、勢い余って沿道の住宅に衝突し、だんじりだけでなく家まで壊してしまうことなどもしばしば。時にはだんじりと住宅に挟まれたりして、人命が失われることもあるほどだ。

 その“カゲキ”さから今ではすっかり全国区の人気になり、毎年9月と10月に行われる祭りには全国から数十万人もの見物客が訪れ、関西地方ではテレビ局が生中継までするビッグイベントになっている。

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