ハリマ化成グループ

伝説のテクノロジー

松煙墨(しょうえんぼく)を使った独特の藍染技法

江戸時代から続く伝統工芸の黒羽藍染(くろばねあいぞめ)。
今、黒羽地区でその伝統技法を受け継いでいるのは、小沼雄大さんだけだ。若き藍染職人は、伝統を守ること、そして伝えることの重要性と日々向き合っている。

藍染職人 小沼雄大さん

スニーカーと藍染

 東北新幹線・那須塩原駅から車で東南方向に15分ほど。国道294号線と県道182号線が交わる角に、黒羽藍染“紺屋”の店がある。

 20年ほど前に建てられたという店は、古民家風のつくり。店内に一歩入ると、黒羽藍染という伝統工芸品を売る店にいかにもふさわしい和の雰囲気が漂う。

 だが、店内の一角に置かれているのは、1足のスニーカーだ。見ると、白地のキャンバス地に型染の手法でデザインした模様が施されている。「8代目を継いだとき、改めて店内を見まわしたら、自分が客だったら欲しいと思えるものがあまりありませんでした。だから、自分と同じ世代の人が興味を持ちそうなものをつくろうと考えたんです」

 と言う小沼雄大さんは32歳。8代目を継いだときはまだ24歳だった。

 何をつくればいいか、ヒントを得るため小沼さんは京都へ2泊3日の旅に出た。そしてそこで見つけたのが草木染のスニーカーだった。

 「靴を染めるのもありだ」

自分には何ができるか。「染めるだけじゃなく、柄も付けられる」と答えを出したスニーカー。

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