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伝説のテクノロジー

1000年の歴史と伝統が支える平成の備前焼

素朴な力強さと深い味わいを持つ備前焼。現代備前焼作家の伊勢崎 紳さんは、
その魅力について「相手を引き立たせるところ」と言う。
釉薬(ゆうやく)を使わず絵付けもしないその独特な技法が代々受け継がれて約1000年。
気鋭の若手作家はその伝統を受け継ぎ、奇を衒わずに真っ向から備前焼の技法に挑んでいる。

備前焼作家 伊勢崎 紳さん

さまざまな焼きの技法

 日本六古窯(ろくこよう)のひとつに数えられる備前焼は、古墳時代から平安時代にかけてつくられた陶質土器の須恵器が発展したものと言われている。岡山県備前市の伊部(いんべ)地区で盛んであることから、伊部焼きと呼ばれることもある。

 一般の陶器は、釉薬を塗ったり絵付けをしたりする。しかし備前焼は釉薬も塗らなければ絵付けもしない。ろくろや手びねりで土を成形し、自然乾燥させてから窯(かま)に詰め窯焚(かまた)きする。それだけだ。だが、それだけに焼きの技法にはさまざまな種類があり、奥が深い。

 「僕がよく用いるのは、緋襷(ひだすき)、胡麻(ごま)、牡丹餅(ぼたもち)、などです。窯変(ようへん)の技法を使うこともあります」

 伊勢崎 紳さんが言う。

 緋襷というのは、つくった作品に藁(わら)を巻いたり間に挟んだりして焼く技法のことだ。藁の成分と粘土の鉄分が反応しあい、緋色の襷をかけたような模様が現れることからこの名がついた。また、胡麻というのは、焼くときに使う割木(まき)の灰が作品に付着し、胡麻を振りかけたような状態になったものをいう。そして牡丹餅は、ある作品の上に別の作品を置いた状態で焼き、火が直接当たらない重なった部分が牡丹餅のような形になり発色する。窯変は、作品が灰に覆われたり埋まったりしていぶし焼の状態になり、青灰色に焼き上がるようにする技法だ。

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