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伝説のテクノロジー

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日本庭園文化を世界に伝えるために

小杉造園株式会社・小杉左岐さん

毎年数十名を海外研修に派遣

熱海研修所にて海外からの研修生に日本文化を紹介。

 そのために小杉造園では、熱海研修所に各国の日本駐在大使を招いたりもしている。海外から造園技術者や大学教員、学生などを招き、2週間、畳の生活をしてもらいながら日本庭園や日本文化に対する理解を深める取り組みも行っている。小杉さんはキエフの国立大学で講演をしたこともあるし、キエフ国立建築大学と小杉造園は産学協力協定も結んでいる。昨年、アゼルバイジャンで開かれた日本と同国の経済合同会議には、大手商社のトップなどとともに小杉さんも出席し、観光と文化についてのプレゼンテーションを行った。

 「以前は、日本の庭園文化を広めることだけを考えていました。でも、今は庭園に限らず日本の文化を世界中に輸出したいと思うようになりました。日本が発展するには、輸出を増やすしかありません。文化の輸出を通じて、海外のものが日本に入ってくる可能性もあります。そうして国と国、お互いにとって利益になるようなお付き合いができれば、一番いいのではないでしょうか」

オーストラリアにてIMG CEOのグレック・フートン氏と小杉社長。

 そうしたさまざまな活動で、小杉さんは月に2回以上のペースで海外を訪れている。また毎年4月には、社員の海外研修も実施している。それもひとりや2人という規模ではない。今年はブルガリア、韓国、アゼルバイジャン、スリランカの各国にそれぞれ10名ずつくらい、計40名近くの社員が各国を訪れた。美しいものを見ることと視野を広げることがこの研修の大きな目的だ。

「うちはバブルのときにもビルを建てたりはしませんでした。資金に余裕があるなら社員に投資した方がいいと考えているからです。おかげでバブル崩壊後もなんとかやってくることができました。でも、当社がここまでやってこられたのは、これまでに出会った方たちのおかげです。出会った方たちが、私たちを引っ張ってきてくれたのです。私は本当に出会いに恵まれて、感謝しています」

 最近は日本でも日本庭園を見る機会は少ない。日本人でも、日本庭園を理解している人はそれほど多くない。だが、古くから伝わるこの文化を、このまま廃れさせていいはずはない。小杉さんたちの想いと取り組みを知ったこの機会に、改めて私たち一人ひとりが日本庭園という文化について、考えてみる必要があるのではないだろうか。

[こすぎ・さき]1946年生まれ。江戸時代から農業を営んでいた小杉家は、大正時代に造園業にも参入。小杉さんは「植木屋の3代目」として家業を継ぎ、1978年法人化に踏み切るとともに事業を大きく発展させてきた。2003年熱海研修所を開設、2007年ユニバーサル技能五輪国際大会・造園部門で金メダルを獲得。2009年アゼルバイジャン政府の要請で都市公園の中に日本庭園を造る。同年黄綬褒章受賞。「チャレンジして失敗を恐れるより、チャレンジしないことを恐れろ」というホンダの故本田宗一郎氏の言葉が好きだと話す。「この年になってもチャレンジ精神が衰えない」と笑う。

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