ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

教養とセンスを磨かなければいい研究はできません

藤嶋昭

きっかけは七五三問題

 以来、私はずっと光触媒の研究を続けてきました。残念ながら効率が良くないため光触媒で生み出す水素をエネルギーとして利用することには限界がありましたが、光を吸収することで反応を促進する光触媒には、実に多様な機能があります。ですから実用化が始まっていてもまだまだ研究しなければならないことはたくさんあります。新しいテーマについて考え、ディスカッションするのは、本当に楽しいものです。光触媒には、無限の可能性があると言ってもいいでしょう。

 もう一つ、私が長く続けているものがあります。子ども向けの理科教育です。始めたきっかけは「七五三問題」を知ったことでした。小学5年生のときには理科が好きな子どもが70%もいるのに、中学2年生になると50%に減り、高校2年生のときには30%になってしまうというのです。学校の先生方の教え方が悪いと言うつもりはありません。しかし、成長するにつれ理科への興味をなくしていく子どもたちが増えていくのは悲しいことです。科学技術立国を目指す日本にとってもこれは由々しき事態です。

 そのため私は子ども向けに理科や科学を教える本を数多く書いたり監修したりしてきました。川崎市にあるかながわサイエンスパークの西棟に光触媒ミュージアムがあります。私は館長を務めているのですが、同じ西棟にできた神奈川県立川崎図書館の方が最近数えてくださったところによると、私が書いたり監修したりした本は、子ども向けのモノを含めて全部で72冊あったそうです。

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