ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

今こそ学問領域を超えた知の融合が不可欠

井上明久

複眼的な視野を持つ人材の育成を

 科学・技術の最先端分野では、今や学際融合が当たり前になっています。新たな発見・発明の多くが、分野横断型の研究から生まれてきているのです。またグローバル化や情報化の進展で、課題解決には、複眼的な視野を持った人材が不可欠になってきています。そのため学部時代にはできるだけ視野を広げるために、教養教育を充実させ、英語教育を強化。専門課程へ進んだ後も、細分化した領域についてだけ研究するのではなく、分野横断型の研究を通じて、複眼的な視野を備えられるよう教育・研究の環境を整えました。

 このような知の融合が不可欠であるという思いは、大震災を機に一層強まりました。復興のために必要なさまざまな課題の解決、将来の危機への備えなど、どれひとつとして、ひとつの分野の学問や専門知識・技術で対処できるものはありません。大震災によって、これまで以上に多くの学問分野を融合させたプログラムを準備して、社会を俯瞰的にとらえ、リードしていく人材を育成しなければならないことが、一層浮き彫りになったのです。

 東北大学は開学当初から「研究第一」「実学主義」「門戸開放」という理念を掲げてきました。

 研究第一というのは、研究だけしていればいいということではありません。最先端の研究を地道にしていれば、おのずと社会に貢献できるという意味です。ですからどこを自分のフィールドにするのかというのは、とても大事なことです。最初は物まね的なところからのスタートでも構いません。そうして修得したものから少しずつ独自性を出していけばいいのです。

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