ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

光応答性分子で表面レリーフを形成

生方 俊

40にして惑う

松籟財団の助成についてはどうお考えですか。

 もともとは1年間の研究として申請しましたが、先ほどもお話ししたように新型コロナの影響で理研との共同研究ができなくなってしまいました。その事情をご説明したら、期間を延ばしていただけたので、非常に感謝しています。大学の研究資金は国の助成金が基本になります。国の助成金は、以前は広く薄く配分されていましたが、最近は一点集中型になってきています。われわれのように取り組んでいる研究者が少ない研究には、大きな予算はつきにくくなっています。そういう意味でも民間の助成制度は本当にありがたいと思っています。

ところで研究室はどういう方針で運営されていますか。

 正直、これだという方針はまだ見つかっていません。もう40歳を過ぎていますが、惑い続けています(苦笑)。学生は一人ひとり違うので、画一的な指導はできません。今は、一人ひとりを研究者として見て、一緒に共同研究をしているような感覚を持っていたほうがいいのではないか、と考えています。本学には「名教自然碑」があります。横国大の前身の横浜高等工業学校の校長を務められた鈴木達治先生が残された言葉で、「自然を貴ぶことがよい教育につながる」という意味だそうです。自由な形で自発性を大事にすれば、研究も教育もうまくいく、と私は解釈しています。

共同研究ができなくなるなど、新型コロナの影響は甚大ですね。

 この2年間は大変でした。昨年度は授業がほとんどリモートでした。今年度はだいぶ対面授業も戻ってきています。実は学生にはリモート授業が好評です。なので、リモートを超える対面授業をつくるのがまた大変なんです。対面授業のハードルが高くなったように感じています。

今後の目標はいかがですか。

 人があっと驚くような光応答性の分子をつくりたいというのが一貫した目標です。

 驚かれるようなものをつくろうと思ったら、普通に考えていてもつくれないと思っています。思い切った発想の転換など、思いもしなかったことをする必要があるかもしれませんね。

横浜国立大学 大学院工学研究院 機能の創生部門 准教授 生方 俊[うぶかた・たかし] 1973年、神奈川県生まれ。東京工業大学生命理工学部生体分子工学科卒業。同大学院総合理工学研究科物質科学創造専攻博士課程修了、博士(工学)。理化学研究所基礎科学特別研究員を務めた後、2004年4月、横浜国立大学大学院工学研究院機能の創生部門助手に。以後、特別研究教員、助教を経て2012年12月より現職。新型コロナウイルス感染拡大後、研究室の飲み会などができなくなり、学生とのコミュニケーションが減ったと嘆く。休日には散歩をしたり家族と出かけたりすることが多いという。

[第37回松籟科学技術振興財団研究助成 受賞]

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